正しい知識:計画換気編 | 更新情報|縁 創建工房 | 大阪 寝屋川 枚方で自然素材・高寿命の注文住宅・リフォーム・健康住宅

Model House

更新情報

NEW

2025年04月18日 社長ブログ 社長コラム

正しい知識:計画換気編

 

現在では「性能」というワードが浸透していき、

各会社様も性能値のアピール合戦になっています。

 

それはそれでいい事なのですが、

私が以前からお伝えしている、

「耐久性」には明確な判断基準もなく、

また耐久性の目指す数値もありません。

 

このような注意点もあるので、

耐久性を意識した家づくりも

頭に入れて頂きたいと思います。

 

さて、今回の題名である、「計画換気」にも、

家を建てる際には覚えておくポイントがありますので、

まずは、歴史から確認したいと思います。

 

昔の家は良くも悪くも「気密性」が悪かった事と、

使っていた家の材料も化学製品が少ない事もあり、

アレルギーなどの問題はなかったのですが、

住宅の気密性が高まってきた事と同時に、

家の素材も新建材が沢山採用された事が原因となり、

シックハウスが1990年代後半に社会問題になりました。

 

そこで、2003年に換気設備の義務化が決まり、

住宅全体の「計画的な換気」を義務化する流れとなりました。

※換気量の算出方法は居室は1時間に

0.5回以上の換気をする事になりました。

 

まず、換気方法は、

 

自然換気

機械換気

 

の2つの方法があります。

 

換気方法の自然換気とは窓を開ける事はもちろんの事、

自然給気口が現在の住宅ではシックハウス対策として

取付けられています。

 

自然吸気口とはファンなどの機械式ではなく、

穴とフィルターから構成されている

単純な換気部材です。

 

次に換気方法の機械換気の種類は3種類あります。

 

1種換気:強制吸排気(熱交換式で採用する家が多い)

2種換気:強制給気(住宅では基本使わない)

3種換気:強制排気(最も使われている)

 

また、全ての換気扇にはダクト式とダクトレスがあります。

 

皆さんがイメージする換気は機械式です。

 

キッチンのレンジフードや、

洗面所、トイレにある機械式の換気扇です。

 

これは第3種換気と言い、強制排気を指します。

※3種のダクトレスになります。

 

先ほどの自然換気は単純に穴が空いているだけでしたが、

強制排気である3種換気を動かすと、

室内の空気を外に排出するので、

家は負圧になります。

 

室内の空気を強制的に外に排出しているので、

家が凹んでいるイメージです。

 

すると自然の原理で外から

空気を室内に取り入れる力が作用します。

この際に自然給気口が活躍するのです。

また隙間が多い家では

外から空気が自然に室内に流入します。

 

空気が動かない事を「淀み(よどみ)」と言いますが、

3種換気を動かすと空気は動きますが、

気密性能が悪い家では空気は動きません。

 

現在の住宅では3種換気のダクトレスが多いのですが、

これはコストが安価である事と、

メンテナンスが容易である事が大きいです。

 

次に1種換気です。

 

1種換気は強制排気と強制給気を機械で行います。

その事により、家は正圧を保たれますし、

空気もよく動く事になります。

また3種と同じくダクト式とダクトレスがあります。

 

ここで少し話がそれますが、

換気と全館空調を一緒になって考えている方が多いです。

 

換気の話と冷暖房である空調設備は別です。

 

しかしなぜ一緒に考えてしまうのかは、

前述の1種換気が原因です。

 

1種換気とは強制排気と強制給気でしたね。

 

せっかく温かくしたり、冷やした空気を

わざわざ外に捨てるのは効率的ではないので、

捨てる熱を回収して再利用する考えが、

「熱交換式」と言います。

 

つまり1種換気の熱交換式となるのです。

 

仮に冬とします。

 

外気温は0℃

室内は22℃(エアコン使用時)

 

ここで3種換気を動かすと、

エアコンを使い、せっかく温めた22℃の空気を

外に捨てる事になり、更に先ほど学んだ負圧の理屈により、

外気温0℃の空気が給気口から室内に入ってきます。

 

しかし熱交換式の1種換気の場合は、

室内の22℃の空気が熱交換の機械に回収されてから、

屋外に排出されます。

外気温0℃の熱が室内に入る際には

約20℃程度で室内に戻す事になるのです。

※熱交換効率は商品により異なります

 

この事により、エアコンで温めた室温は安定する事になり、

いつまでたっても室温が温まらないという事にはならないのです。

 

これが熱交換式の1種換気です。

 

まとめると、

換気扇のカテゴリーの中に、

1種換気と3種換気があり、

1種換気には熱交換式があるという事です。

※更にダクト式とダクトレスがある

 

冷暖房などの空調設備は全館空調です。

全館空調とは大きいエアコンが1台あり、

各居室にダクトで冷暖房を供給しているイメージになります。

 

各居室にダクトがいきますので、

壁や天井の中にはダクトが沢山通ります。

 

また、全館空調には全熱式と顕熱式がありますが、

全熱式は温度(顕熱)と湿度(潜熱)を交換しますが、

顕熱式では温度(顕熱)のみの交換となります。

※1種換気にも全熱式と顕熱式がある

 

このような話を聞くと、1種換気の熱交換や、

全館空調がいいとなるかと思いますが、

もちろんデメリットもあります。

 

熱交換式1種換気のデメリット

・初期費用が3種換気に比べると高い

・ダクト式の場合メンテナンス費用がかかる

 

全館空調のデメリット

・初期費用が高い※参考価格200万~300万

・メンテナンス費用がかかる

 

ここで私が思うデメリットはダクトです。

 

1種換気のダクトレス以外の製品では、

ダクトを沢山使います。

 

床下、壁、天井の中に沢山のダクトが入ります。

 

この清掃が問題なのです。

 

ダクトは隠れているので、汚れも見えませんし、

掃除は自分で出来ません。

 

専門業者に依頼をすればある程度の清掃は出来ますが、

完全に汚れを取る事は出来ません。

その為にフィルターがあるのですが、

定期的なフィルター清掃を怠ると問題です。

 

また全館空調は24時間365日機械を止める事がない前提です。

その事により常に空気はダクト内で動いているので、

汚れがとどまる事は無いと言われていますが、

10年20年と使っていて全く汚れないのは不自然だと私は思います。

 

あとは10年以上経過して全館空調の本体の機械が壊れた時の

交換も大がかりになるので、交換の際にはコストが高くなります。

ダクトを交換するとなった際には、

壁を捲る必要もあります。

 

ここも注意点かと思います。

 

少しマニアックな話ですが、

ダクトの種類にも注意が必要です。

 

ダクトはいわゆるフレキシブルダクト(ジャバラ)が一般的ですが、

フレキシブルダクトでは

埃がダクト内に溜まりやすくなりますので、

スパイラルダクトがお勧めです。

 

だたしスパイラルダクトは曲がりなどの

対応は難しいのでこちらも検討が必要です。

 

最後に、気密性能(C値)や、

空気環境の関連性の話をします。

 

1種換気でも3種換気でも共通して言えるのは、

気密性能が担保されている事が条件です。

 

特に1種換気(熱交換式)では気密性は重要です。

※最低基準としてC値1.0以下はマストです。

 

隙間があると計画通りに空気は動きません。

 

コップにストローを入れて吸って下さい。

但しストローには無数の穴が空いています。

 

飲み物を口に入れる事に苦労しますね、、

 

隙間があると空気は動きません。

 

つまり、換気と気密はセットで考えないといけないのです。

 

また、全館空調は空調設備で室温調整をするので、

窓を開けることは想定されていません。

 

窓を開けない=室内の空気を人は吸い続ける事になります。

※もちろん外気からの給気はありますが

 

つまり、室内空気環境のことを

もっと考えなくてはいけないのでは?

と私は思うのです。

 

だから自然素材がいい、とは言いませんが、

新建材の家で出来た家は注意が必要かと思います。

 

以上の事から計画換気は1種か3種、

1種の場合は全熱式か顕熱式か、

ダクト式かダクトレスかなどの

検討をしてから採用をして下さい。

 

この情報がお役に立てれば幸いです。