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2025年07月22日 社長ブログ 社長コラム
情意投合の家づくり:想いが通じ合う10の対話 ~選択肢があることで、人ははじめて「選べる」~
●情意投合とは
「情意投合」とは、
「お互いの気持ちが通じ合い、理解し合えること」
家づくりという人生の大きな決断において、
住宅会社と施主がこの“情意投合”を果たせるかどうかは、
完成した家の満足度を大きく左右します。
私は週に一度、自宅の神棚に供える榊を
花屋で買うようにしています。
ある日、ふと立ち寄った花屋で、
目に留まった2種類の榊。
ひとつは198円の輸入榊、もうひとつは400円の国産榊。
そして国産榊には、こう書かれていました。
「国産榊はとても長持ちします」
これまで特に意識せず輸入榊を買っていた私は、
興味本位で国産榊を手に取ってみたのです。
■ 驚きの「もち」の差
それまで使っていた輸入榊は、
1週間もすれば枯れてしまうものでした。
ところが、国産榊は違いました。
・1週間経過 → 枯れない
・2週間経過 → 枯れない
・3週間経過 → 葉が数枚変色する
・4週間経過 → 葉が枯れ始める
輸入榊の1週間の枯れ方よりも、
国産榊の4週間後の方が状態が良い。
ちょっとした感動を覚えました。
■ 調べて分かった「品質の裏側」
少し調べてみると、国産榊は
日照・土壌・肥料・栽培環境などにこだわり、
長持ちする品質を追求して育てられているそうです。
それに対し、
輸入榊は主に価格や流通の効率を重視した大量供給品。
ここで私は、ある種の気づきに出会いました。
■ 安いから選んでいたわけではなかった
私が最初から輸入榊を買っていたのは、
安さを求めていたからではありません。
そもそも、輸入と国産という
「選択肢」があること自体、知らなかったのです。
行った先の花屋には、輸入榊しかなかった。
だから、それを「選んだ」というより
「それしか無かった」
ただそれだけだったのです。
■ この話、家づくりと似ていませんか?
これは、家づくりでもまったく同じだと感じます。
「家がほしい」
↓
「展示場を見に行く」
↓
「見た家の仕様がすべてだと思う」
そんなふうに、最初に接した選択肢が
基準になってしまう。
その家が輸入材でできていても、
長持ちしにくくても、
それに気づくチャンスがないのです。
■ 数字で見てみると…
私は少し計算をしてみました。
・輸入榊(198円)を毎週交換
→ 年間48回 × 198円 = 約9,500円
・国産榊(400円)を月1で交換
→ 年間12回 × 400円 = 約4,800円
・花屋に行く手間
→ 輸入榊:48回/年、国産榊:12回/年
30年続けたとしたら、
・コスト:輸入 288,000円/国産 144,000円
・手間:輸入 1,440回/国産 360回
金額も手間も、約半分に減るのです。
■ 「比較」が生まれるのは、「選択肢」があるときだけ
本質はここです。
私は「安さで選んだ」のではありません。
「選択肢がなかったから、それを買っていた」だけなのです。
この視点を家づくりに置き換えたとき、
「もっと長持ちする家」
「もっと心地よい素材」
「もっと健康を守る設計」が世の中にあっても、
それに出会わなければ
「ないもの」として扱われてしまう。
■ 榊が教えてくれた「本当の選択」とは
国産榊と出会った私は、
いまではその価値を知ったうえで、
国産榊を選び続けています。
家づくりも同じ。
「一生に一度」の選択であるからこそ、
比較するための土俵を自分で広げることが、
心からの納得と情意投合への第一歩だと感じるのです。
■ 最後に
このコラムを読んでくれたあなたが、
住宅展示場で見る家だけでなく、
もうひとつの選択肢に目を向けるきっかけになれば嬉しいです。
そして、建材でも、工法でも、考え方でも、
「それしか知らなかった」からではなく、
「本当に納得して」選べる家づくりを。
それが、情意投合のある家のはじまりだと私は信じています。
●まとめ
・選択肢がないと、人は「選んだつもりで選んでいない」
・比較できるからこそ、本当の納得が生まれる
・家づくりは、「知らずに選ぶ」のではなく「知ったうえで選ぶ」ものにしたい
・榊ひとつにも、家づくりにも、「見えない気づき」が宿っている
次回は、「失敗する人、満足する人」
情意がズレた瞬間に起きるすれ違いをテーマに、
「なぜあの時ああなったのか?」という、
家づくりの後悔あるあるを掘り下げていきます。