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2025年08月04日 社長ブログ 社長コラム
情意投合の家づくり :想いが通じ合う10の対話 ~悩むことこそ、向き合っている証拠~
●情意投合とは
「情意投合」とは、
「お互いの気持ちが通じ合い、理解し合えること」
家づくりという人生の大きな決断において、
住宅会社と施主がこの“情意投合”を果たせるかどうかは、
完成した家の満足度を大きく左右します。
「この間取りで本当にいいのか不安です」
「断熱性能はどこまで上げるべきですか?」
「うちにはどんな家が“正解”なんでしょうか?」
家づくりの打合せでは、
こうした質問を何度も受けてきました。
私たちも、その都度じっくり話し合い、
悩み、考え、すり合わせてきました。
でもこの問いには、いつもこう感じます。
「正解」を探す前に、
納得のゴールを一緒に探したい。
今回は、「家づくりに正解はあるのか?」という
多くの人が一度は立ち止まるテーマを、
情意投合の視点から紐解いてみたいと思います。
■ スペックの正解は、あくまで目安でしかない
UA値、C値、耐震等級、換気方式、日射取得――
最近の住宅は、数値化された性能があふれています。
たしかにこれらは最低限の安心と快適性を
担保するものとしてとても重要です。
でも、それだけでは語れないのが「暮らし」です。
たとえば、
・断熱性能が高くても、
日射遮蔽をしていない暑すぎるリビング
・間取りは合理的でも、
落ち着かない家事動線
・快適なはずなのに、
どこか落ち着かない空間
それらはすべて、
「数値上の正解」と「暮らしとしての納得」
のズレから生まれる違和感です。
■ 暮らしには、正解ではなく「相性」がある
私たちが理想の家をつくろうとするとき、
目指すべきは万人にとっての正解ではなく、
その人にとっての納得です。
・本を読むのが好きな人には、
陽だまりの読書コーナー
・洗濯をためたくない人には、
動線最短のランドリールーム
・家族との距離感を大切にしたい人には
気配がつながるリビング
同じ家でも、
住む人が変われば最適解は変わります。
■ 正解のない世界だからこそ対話が必要になる
お客様の多くは「わからないことがわからない」とおっしゃいます。
それが自然です。
人生で何度も経験することではないのだから。
だからこそ私たちは、
プロとしての視点と、
暮らしの背景を結ぶ通訳者のような
存在でありたいと思っています。
「こうすべき」という押しつけではなく、
「こういう暮らし、どうですか?」という提案を重ねながら、
一緒にその人の答えを探していく。
それが、情意投合の家づくりです。
■ 「迷うこと」は、ダメなことではない
あるご夫婦は、打ち合わせのたびに毎回
「悩んでばかりですみません」とおっしゃっていました。
でも私は、いつもこう返していました。
「それだけ真剣に、
この家のことを考えてくださってるということですよ」
悩むとは、向き合っている証拠。
悩み続けた先にしか、
納得できる家はないと私は思います。
■ 情意投合とは「正解を与える」ことではない
家づくりは、プロが与える模範解答に
○×をつける試験ではありません。
お客様と一緒に考え、形にしながら、
唯一無二のあなたの答えを描いていく作業です。
情意投合とは、正解を出すことではなく、
「一緒に迷ってくれる人と出会えること」なのかもしれません。
●まとめ
・家づくりに“万人にとっての正解”は存在しない
・大切なのは、数値の良し悪しではなく“その人の納得感”
・迷うことは真剣な証拠であり、むしろ必要なプロセス
・情意投合とは、「答えを示す」より「一緒に考える」姿勢から生まれる
●次回予告(最終回)
次回はいよいよ最終回。
シリーズを通して見えてきた「情意投合の本質」について、
これからの家づくりに向けたメッセージとしてまとめます。