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2024年10月07日 社長ブログ

普及品=安くて一般的であるという常識

先日、テレビを見ていた際にこだわりの石鹸、シャンプー

洗剤などを紹介しておりました。

成分は自然由来を用いて細部にまでこだわりが感じられる素晴らしい商品でした。

 

・少しの量でこれだけの泡が立つ

・汚れがこれだけ落ちる

・ドライヤーの熱から頭皮を守る、、

 

巷に溢れている安価でお手頃なモノとは大違いでした。

 

気になる価格はシャンプー1本3000円

 

他の商品もどれも高価でした。

 

皆様はどう感じますか?

 

頭皮に絶対に良いんです。少量で泡立ちもよく、汚れも本当によく落ちます。

髪の艶も違います。ドライヤーの熱からも守ってくれます。しかし1本3000円です。

 

その商品でしか悩みを解決出来ない方なら購入するでしょう。

あるいは、良いモノ、本物にはお金は惜しまない方も購入するかも知れません。

珍しさで1回だけ購入しようと思う方もおられるでしょう。

 

しかし、世の中の大半の方は「高い」から購入しないんでしょうね。

 

「シャンプーに3000円なんて勿体ない。」

 

こんな意見も多いでしょう。

 

衣食住の服で考えれば、糸や自然素材、製法、デザインにもこだわり、

となると一般的な服よりは高い価格に当然なります。

 

しかし、肌触りはよく、何度洗っても長持ちして

ずっと大切に着るかも知れません。

 

 

では、衣食住の食べ物はどうでしょうか。

 

普段行くスーパーで販売している野菜は

農薬を使い大量に作られているので、お手頃な価格です。

 

隣に目をやると無農薬で一つずつ、

丁寧に育てられた野菜があります。

 

価格は倍です。

 

買いますか?

 

塵も積もれば、、、で毎日口から摂取している食材に気を使うと

将来の健康に影響がいくかも知れません。

 

そんな事は理想論であり、お金もかかるので

普及品でも良いという考え方が一般的でしょう。

正解は分かりませんし、自分が決める事です。

 

世の中には本当に沢山のモノが溢れ、

沢山の考え方の元、製造、販売されています。

 

大量生産、大量消費です。

 

そんな現代で私たちが何気に普段手に取り、

口から入れている食材、使っているモノの大半が「普及品」であり、

普及品という事は価格も普通であり、

安いと言っても良いでしょうし、

高くならないように努力していると言っても良いでしょう。

 

しかし製造をしているという事には常に製造側の

「責任」があると考えます。

 

私たちは衣食住の家を作る仕事をしていますので、

特にそうかと思います。

 

家は食べ物のように食べたら物体が無くなるものではありませんし、

使ったら減っていくものでもありません。

 

食材、衣服、雑貨などは、

「今はこれ」

「でも次はこれ」

「このような状態なので今回だけはこれ」

 

といった選択は出来るかと思います。都度の選択です。

 

「今日は給料日だから」

「ボーナスが入ったから」

「良いって聞いたから」

「友達に勧められたから」

 

こんな感情になる感じです。

 

もちろん小売業で長持ちするモノが世の中の常識になると

需要と供給のバランスが崩れて経済が回らなくなる可能性もあります。

 

消費するからまた購入が出来るサイクルですから。

 

では、私たち住宅業界の普及品とは何か?を考えた時に、

「建売」や「価格を抑えた住宅」がまさにそうかと思われます。

 

では、家でも普及品なので、

 

「まあいいか、、また買えばいいし」

「これはあかんな、でもまあええか、、」

 

家はそうはいかないのです。

 

そもそも家の価格を考えれば、

数十万や数百万ではなく数千万円は確実にします。

 

私どもが本社を置いている大阪、京阪エリアでは

土地と建物を合わせると建売でも4000万以上はしますし、

ウッドショックや、数年前からの資材高騰による建築費用のアップ、

また土地もどんどん上昇していますので、

10年前は3000万前半の建売りもありましたが、

今は5000万の建売も珍しくはありません。

最近6000万を超える建売りも見た事があります。

 

普及品が5000万以上もする現実。

 

では、その家は普及品で一般的で常識的であるとの前提で話を進めると、

一般的な家の性能や素材や工法はしっかりと考えられた家なのでしょうか?

 

それとも、ただ価格が世の中の情勢で上がり続けて端的に

価格だけが上がっているのでしょうか?

 

全部がそうとは言いませんが、ほぼ正解です。

 

価格だけが上がっているのです。

 

価格が上がれば性能や素材、工法、耐久性が

上がれば良いのですが、そうでもないのです。

 

長持ちはせず、素材は安価で化学製品の大量製品です。

国産のものは限りなく少なく海外からわざわざ輸入をしているモノが多いです。

深く考えずに作っているので、地震にも強くはありません。

暑くて寒い家で光熱費は高いです。

将来ヒートショックが起こる可能性が極めて高いです。

壁の中は結露している可能性が高いです。

デザインをよくしたいので軒は出しません。

インスタグラムで消費者が家を判断するので「見た目」を重視しています。

 

このような家が普通です。一般的な家なのです。

 

そのような普通で一般的な家に住む人は、

実際に住むと高い光熱費を払い続けて、

高いリフォーム費用を近い将来に支払います。

 

そこには「立ち止まって考える」行為をしなかった結果かと思われます。

 

世の大半の方の常識が前述のようになっており、

物事を見て考え判断をする「基準」が無意識に作られた

「無意識の基準」で判断される今の住宅業界は

問題だと私は感じております。

 

このいわば無意識に作られた「基準」から見ると、

こだわりのシャンプーも服も食材も高いんです。

普及品ではないからです。

しかし、このようなモノはまだいいんです。

数千円、数万円ですので、「まあいいか、、」が通用するからです。

 

家は違います。

 

人生の時間の半分以上は家で過ごすと言われていますので、

家の中の環境は極めて重要です。

 

そして家は朽ちていくので、メンテナンス費用もかかります。

毎月の光熱費もかかりますし、ローンを数十年間払い続けます。

将来の健康にも、そして老後の家計にも影響が及びます。

 

何よりあなたが選択をした家は子供が育ち、

いずれや子供が巣立った後も、子供の実家になるのです。

 

普及している=安くてお手頃

 

という式が世の中の常識なら、

住宅業界が作っている家がその常識を疑わずに購入された

住まい手が今もその家に心から満足をして住んでいるのでしょうか。

 

服や生活雑貨、嗜好品のように都度の選択でいつも通りの普及品、

今回はこだわりのモノといった選択は出来ないのが家です。

 

初めての選択が一生に一度しかない選択になるのです。

※家は3回建てないと満足する家は建たないという定説があります

 

もちろんいくらどれだけ良いモノを作っていても

「高くて買えない」と思う方がおられます。

 

しかし、その「高い」と思う基準や常識から疑って欲しいのです。

 

一般的な普及品の家の価格で断熱、耐震、気密、空気環境、耐久性などを

考えた家を建てる事は不可能だと思います。

 

そのぐらい今の普及品、一般的な家とこれから建てなければならない

家の違いは大きくあると私は思います。

 

安くて早く建てる事を考えれば、家の建材は何を選択しますか?

実際に家を建てる職人さんの単価はいくらにしますか?

安くさせると職人さんは精魂込めて家を作りますか?

考えて作りますか?

建築は見えない箇所が多い仕事です。

見えない箇所にもこだわりを持って家づくりをしますか?

 

何よりそんな考えで日本が世界に誇る物づくり業界に何が残りますか?

 

海外では家の価格は日本と比べると高価になります。

しかし、自分の両親や祖父、祖母が建てた家をメンテナンスしながら

子の代、孫の代へと継承されて住み続けているのです。

築30年で取り壊すなんて考えられないのです。

 

海外の方には悪いですが、日本の職人は世界一です。レベルが違います。

しかしその腕を振るう場が今は無いのです。

大変残念な話であり、近い将来本物の職人さんはいなくなっていくでしょう。

 

昔の日本の風習であった家を住み続けて

子や孫に継承される文化は素晴らしいと思いますし、

中古住宅として流通して資産価値もあり

目減りも少ない家は経済もしっかりと循環すると思います。

 

「家なんて今の流行りで建てて古くなったら

リノベか解体をしてまた建てたらいい。」

 

では、解体をしてゴミを沢山出して、

また環境に負荷を掛けて家を建てると経済は潤うのでしょうか?

昔の家を解体して建て替えをしている日本の住宅業界です。

 

住宅業界はいま潤っているのでしょうか?

少なくても私の周りでそのような声を聞いた事はありません。

 

空き家は沢山あり、空き家問題は社会の課題です。

解体補助金を出す行政は沢山あります。

税金を使っても壊して欲しいのは一昔前の住宅業界が建ててきた家なのです。

 

今、建てている家に国産材を使うと自然の山が循環します。

そして、自然素材を沢山使った家は

100年後に解体をしてもゴミにはなりません。

 

自然のモノはシンプルに自然に還るのです。

 

家を建てる際には面倒かも知れませんが、

一旦立ち止まり、深く考えて頂き、

後悔のない選択をして頂きたいと切に願います。