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2024年12月01日 社長ブログ
場作り
昨日は定期的に開催をしている棟梁会でした。
7人の大工さん「棟梁」と定期的な意思の疎通を
行う事を目的としています。
昨日の棟梁会は特に収まりや
仕様変更に伴い中身の濃い議論でした。
新たに加わった大工さんもいたので
棟梁会終わりで懇親会へ。
食事の席なので時間が経つにつれ
仕事やプライベートなど沢山の話に、、、
私も現場で汗を流していた時代もあったので、
大工さんの気持ちはよく理解をしているつもりです。
今の住宅業界では昔と違い大工さんや
他の職人さんへのリスペクトが無くなってきたように思われます。
「安く早くしろ。次の仕事はあるから。」
私が下請け時代によく言われた言葉です。
「丁寧に一生懸命考えて今のあなたの技術を全て出して下さい。
その対価はお支払いします。」
そんな事は誰も言ってくれず、
安く、早く、大量に、、そんな状況しかなかったです。
こんな状況で誰が職人になるのでしょうか?
この原因は仕事をお客様から
依頼をされる会社に責任があると考えます。
「誰でもいいから、安く、早く、
そして言われた通りに仕事をしてくれ。」
そんな使い方をしているからです。
この事を深く追求していくと、
私は家を購入するお客様側にも責任があると思っています。
「安かったら何でもいい」
「家なんてどうでもいい」
「利便性が良かったら何でもいい」
「性能って聞くけどこれぐらいでいい」
まあこんな感じでしょう。
選ぶ側も仕事を発注する側もこんな想いなら
「いい家」なんて出来る訳がありません。
そして、一番の問題は川下側の現場で汗を流し
実際に物つくりをしている職人さんに、
そんな中途半端な気持ちが伝わり、
気持ちの入らない適当な仕事になるという現状です。
まさに原因と結果です。
川上側から汚れた水を流せば川下側では更に汚れた水になり、
その川の中で生きている生物にも悪影響を与える。
結果、日本の住宅は築30年程度で解体され、
大量の産業廃棄物を出す。
その事に消費者は何も感じず、
大量生産されるコピペハウスが誕生する。
そんな家は簡単に売却され中古住宅となり、
大量の在庫物件となり不動産業界は忙しい業界になり、
リノベーション、リフォーム業界の発展へと繋がっていく、、、
このように周りにも悪影響を沢山及ぼしている事が
新たな業界の活性化に繋がっている皮肉とも言える
今の住宅業界には、非常にシンプルな
原因と結果があると私は感じます。
そんな住宅業界ですが、当社の仕事は建売や
見た目だけの注文住宅の大工さんでは
出来ない仕事が数多くありますが
見事にいつも期待に応えてくれています。
もちろん100点を目指していますが、
100点にはならないとも思います。
それでも100点にならなかった項目を
現場で物つくりをしている職人さんと
PDCAサイクルを回していく。
木造建築には20以上の業者さんが関わりますが、
大工さんの技術は別格です。
※他の業者さんが簡単という意味ではなく
家を建てる工程のほぼ最初から最後まで
関わる職種ですので、1つの現場「家づくり」に
かける想いも違うのです。
「自分が建てた家」というプライドです。
懇親会では新しく参加した大工さんの現場が
いつも綺麗なので、確認をすると、
現場を綺麗にする沢山のこだわりがあり、
こういったこちらから聞かないと何も言わないこだわりって
単純にかっこいいんです。
そして私はこのような職人さんの決して
自分から言わないこだわりに光を当てて認めたい。
私が現場で働いていた時には
「なんで誰も認めてくれないんだ」と感じていました。
子供の駄々っ子的な気持ちで若気の至りですが、
当時は本当にそう思っていました。
「そんなこだわりどうでもいいから早く終わらせてくれ」
そう言われた事もあります。
誰も認めてくれないのなら、
自分が認める側に回っただけです。
認める方法には、
「称賛する」
「感謝の気持ちを伝える」
など沢山の方法があると思いますが、
口では何でも言えるのです。
そんな口先ではなく、私は想いのこもったお客様から
一生に一回の家づくりをメインである大工さん、
あなたにこの仕事を依頼します。
という事が私なりの「認める」行為になるのです。
請負金額や段取り工程など沢山の事もありますが、
シンプルにこの家をあなたが建てて下さいという信頼関係が
「認める」「認めている」「感謝している」事とイコールなのです。
世の中には実に沢山の仕事があります。
IT産業がありますし、今は情報化社会ですので、
3Kと呼ばれる現場の仕事は今の若い世代からは敬遠されがちです。
日本が世界に誇る仕事は手作業であり、
職人仕事と私は思っていますが、
私の仕事は「認めている」職人さんのこだわりを
もっと高みの世界まで持っていく「場作り」です。
そしてお客様に私たちが職人さんの
技術やこだわりを真っすぐに正直に伝える事です。
今のご時世、合理的に、楽に、端的に
お金を稼げる仕事が若い世代の憧れの仕事なのかも知れません。
でも私はそんな仕事でやりがいを感じないし
自分の命をかける事が出来ません。
誰に何と思われようが、お客様が一生住む「家」を
超アナログで作る事に価値を感じます。
細部にまでこだわり、職人さんの技術を更に上げていく。
「あれだけの沢山の職人さんに
一生懸命作ってくれた家だから大切に長く暮らしたい」
そんな家は唯一無二の家になる。
二度と戻ってこない時間を消費していく事が
家づくりであるという事が自分の誇りであり、
また、自分達にしか作れない家をこれからも作っていく事が
「使命」なんだと昨日の場で再確認が出来ました。