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2025年09月06日 社長ブログ 社長コラム
価値観との対話:“自由な家づくり”が、“不自由な心”を生む
このシリーズでは、
家づくりの現場で私が感じてきた
「ちょっとした違和感」や
「本当に大切にしたいこと」を、
ひとつずつ言葉にしています。
素材や性能、デザインや価格──
選択肢があふれる今の時代だからこそ、
「何を選ぶか」よりも、「どう選ぶか」が
問われていると感じています。
家づくりは、
間取りや設備を決める作業ではなく、
“自分たちらしい暮らし方”を
見つける旅だと思っています。
このシリーズが、あなた自身の価値観と
向き合うきっかけになれば幸いです。
■ 「自由」って、本当に自由なのか?
家づくりという仕事に長年携わっていると、
目の前のお客様だけでなく、
社会全体の“価値観の流れ”が
肌で感じられるようになります。
ここ数年、よく耳にするようになったのが
「自由な家づくり」という言葉。
「好きなように間取りを決めたい」
「オシャレな素材を選びたい」
これは当たり前のようでいて、
実はとても大きなテーマを含んでいます。
私自身、ずっと現場で家をつくってきた中で、
こんなことを思うようになりました。
「自由って、ほんまに自由なんだろうか?」
そして、「自由に選ぶこと」が、
かえって人を縛ってしまっている場面を
何度も見てきたんです。
■ “自由な家づくり”に潜む、もう一つの顔
「自由な家づくり」とは、
一般的には「自分の理想通りに家を設計できること」
だと思われています。
自由に素材を選び、好きなデザインで仕上げる。
それが家づくりの楽しさであり、
満足感につながる。
確かに、そういう側面もあります。
でも実際には、その“自由さ”が、
「決められないストレス」や
「後悔」につながることも少なくありません。
■ 広さも、設備も、選べば選ぶほど…?
たとえば、家の広さ。
「せっかく建てるなら、広い方がいい」と
言われることがあります。
でも、実際に住んでみると掃除は大変、
冷暖房費も高くなる。
空間が余りすぎて、
寂しさや“持て余し感”を感じる方もおられます。
また、素材や設備の選択肢も増えれば増えるほど、
「これが本当に自分に合ってるのか?」と不安が増す。
そしてその不安は、あとから
「迷ったまま決めた後悔」として残ってしまうんです。
■ 本当の自由って、なんだろう?
「自由に選べること」が豊かさだと思われがちな今の時代。
でも私は、本当の自由とは…
「自分にとって本当に必要なものが分かっていること」
だと思うんです。
選択肢をたくさん並べるよりも、
「これでいい」と思えるものを選び取れること。
その方が、余程自由だし、安心にもつながります。
■ “自由な家づくり”から、“整った家づくり”へ
だからこそ、私たちが目指しているのは
「なんでもできますよ」という家づくりではありません。
「何が必要か」を一緒に見極めていくこと。
「選ばないもの」を決めるサポートをすること。
つまり、「自由さ」を売るのではなく、
「選ぶ力」と「暮らしやすさ」を
丁寧に整える家づくりをしたいと思っています。
■ 選択肢に振り回されず、本質を見極める力を
自由なようで、不自由な時代。
だからこそ今、あえて
「立ち止まって考える時間」が大切だと思います。
「この家、本当に自分に合っているか?」
「“選びすぎる自由”に縛られていないか?」
家を建てることは、暮らしを選ぶこと。
その選択において、
自由はゴールじゃなくて手段にすぎません。
これが、私が提案したい
「自由な家づくり」の本当の意味。
しっかりとした基準と
目的を持って選択していく。
それこそが、本当に心地よく、
豊かな暮らしをつくる一歩になると思います。