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2025年10月08日 社長ブログ 社長コラム
これからの“家”を考える: 「“新築か中古か”ではない“住み継ぐ”という選択肢」
●初めに
国土交通省の調査によると、
持ち家の世帯でも
「借家への住み替え」を希望する人が19%に、
借家の世帯では
「持ち家への住み替え」が33%にまで増加しています。
これまでの「持ち家=最終ゴール」
とする考え方から、
より柔軟な住み替え志向へと
移り変わっているのが現状です。
さらに注目すべきは、
「新築か既存住宅か」の意向の変化です。
持ち家・借家を問わず、全体的に
「既存住宅」を選ぶ人の割合が増加し、
特に「新築にこだわらない」
層が増えていることは、
住宅業界にとって大きなシグナルです。
私たちは今、「新築神話」が終わりを
迎えつつある時代に立っています。
●「性能」と「価値」の再定義
かつては「新しい家ほど価値がある」と考えられていました。
しかし、建物の性能や住環境が重視される現代では、
「築年数」だけで家の価値を
測る時代ではありません。
・省エネ性能の高い断熱改修がされているか
・耐震補強やバリアフリー対応がされているか
・メンテナンス履歴が明確か
これらの要素によって、築20年の家でも
「新築以上の快適さと安心感」を備えることが可能です。
特に近年、国の政策としても
「既存住宅の活用」が推進されており、
住宅ローン減税や補助金も
既存住宅への適用が拡大されています。
●“住み継ぐ”という考え方へ
では、「既存住宅の価値」をどう高めていくのか。
それは「住み継げる家づくり」です。
「今の暮らしだけが快適」で終わるのではなく、
10年後、20年後の家族構成の変化や、
次の世代の暮らし方も見据えた設計・施工が求められます。
たとえば、
・メンテナンスがしやすい素材と仕様
・ライフステージに応じて可変できる間取り
・将来的な賃貸・売却を見越した立地や機能
「今の自分たちだけ」の満足ではなく、
「次の誰かも選びたくなる家」を目指すこと。
それが、これからの“価値ある家”の定義になるでしょう。
●工務店の役割も変わる
これからの工務店に求められるのは、
ただ「新築を建てること」ではありません。
・購入時点の相談(建物診断・購入サポート)
・性能向上リノベーションの提案と実行
・長期修繕計画の作成と実行支援
こうした“暮らしの継続性”を見据えた
パートナーであることが、
信頼される工務店の姿になるはずです。
●「つくる家」から「選ばれる家」へ
今後ますます、人口減少と住宅余りが進む日本では、
「どの家を買うか」ではなく、
「なぜその家を選ばれるか」が問われるようになります。
だからこそ、私たちは「ただ家をつくる」のではなく、
「住み継がれ、選ばれ続ける家づくり」
を目指さなければならない。
家の寿命を延ばすことは、
家族の未来を守ること。
そして社会全体の資源循環を促す、
大きな役割を果たすのです。
●参考出典
国土交通省『住生活基本計画見直しにおける議論の方向性の確認』(資料⑨)
該当ページ:6ページ(今後の居住形態の意向(令和5年住生活総合調査速報))