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2021年12月18日 家づくりコラム

Ua値・ZEH・HEAT20・長期優良住宅の“省エネルギー性能”とは?

家族の命を守る“家”としての使命をもつ「長期優良住宅」。
前回のコラムでは、そんな「長期優良住宅」の安全性能についてお伝えしました。
今回は、長く保たれる快適性、そして長く住めば住むほど大きくランニングコストにも影響を与える、省エネルギー性能についてご紹介します。

「省エネルギー住宅」とは

国では、建築物省エネ法に基づき、住宅の省エネに関する基準(省エネ基準)を定めています。住宅の省エネルギー性能の評価は、下記の2つが基準となっています。

●住宅の窓や外壁などの外皮性能を評価する基準(外皮基準)
  外皮(屋根や外壁、窓などのこと)の断熱性能のこと

●設備機器等の一次エネルギー消費量を評価する基準(一次エネルギー消費量基準)
  設備性能(空調、給湯、証明など)+省エネ性能(太陽光発電など)

ではまず、断熱性能について考えてみましょう。
国では、断熱性能について定期的に見直しており、基準を見直した年度の内容にあわせて以下の通り断熱等性能等級を定めています。

長期優良住宅では、等級4をクリアすることとなっています。

「省エネルギー」と聞くと、エネルギーの削減=光熱費カットというイメージが強いかもしれません。
そのイメージどおり、等級2基準に よって住宅を断熱した場合でも、まったく断熱しない 住宅に比べると、およそ30%の省エネになり、より一 層強化された等級4基準によれば、約 60%もの省エネ化が実現できます。それを年間 の暖冷房費に換算すると、およそ8万円も経費削減になるとの試算も出ています。
一般社団法人日本サステナブル建築協会「住宅の省エネルギー基準」早わかりガイドより)


国土交通省発行パンフレット『快適・安心なすまい なるほど省エネ住宅』より引用

つまり、断熱性能を高めると、夏は灼熱の外気をシャットアウトすることで
・家の中が暑くならない
・クーラーの効きが良くなる
・一度涼しくなれば、その温度を長く保てる
といったことが実現できます。ともすれば、クーラーすらいらない快適性を保てるかもしれません。

また冬は、極寒の外気をシャットアウトすることで、
・家の中が寒くならない
・暖房の効きが良くなる
・一度温めると、その温度を長く保てる
といったことが実現できます。

また、温度差で発生してしまう結露を防ぐことで、カビやダニの繁殖を防ぐことにもなり、アレルギー対策にもつながります。さらに、急激な室温度差による血圧の乱高下が引き起こす、ヒートショック現象の発生率低下にも貢献しています。

このように、健康で快適な住空間を創造するという意味でも、断熱性能を高めることは長期優良住宅の基準にふさわしいといえます。

UA値(外皮平均熱貫流率)とは

では、断熱性能を測る「断熱等性能等級」は、どのように判断されているのでしょうか。
その指標となるのが、UA値(外皮平均熱貫流率)です。

UA値とは、住宅の室内から、外皮(床(基礎)・壁(外壁)・天井(屋根)・開口部(窓))などを通して、外部へ逃げる熱量を外皮全体で平均化した数値です。
このUA値の値が小さければ小さほど、断熱性能が高い=省エネルギー性能が高いということになります。

数字や式を言い出せば小難しくなりますが、簡単にいうと

・家のなかの熱をどれくらい逃さないか
・どれくらいの熱が家の外に逃げやすいか
・外の温度(夏なら暑さ、冬なら寒さ)をどれくらい室内に伝えてしまうか

というイメージです。

南北に長く広がる日本の国土特性に加え、地域による寒暖差、山岳地帯と海岸部など、その地域によって気候が異なるため、国土交通省ではその地域に合わせた基準値を出しています。
地域は8つに区分されており、その基準数値が省エネルギー性能の目安になっています。


(一財)建築環境・省エネルギー機構HPより引用

例えば、同じ大阪でも枚方市や寝屋川市は地域区分6ですが、高槻市は地域区分5であるなど、その区分は詳細です。※1
例えば、地域区分1の北海道ではUA値0.46、地域区分6の枚方市や寝屋川市ではUA値0.87を基準にしなければなりません。 

断熱等級4の上級クラス ZEH(ゼッチ)

国が定めた断熱等級1〜4。実は、その上をいくクラスがあります。
それが、「ZEH(ゼッチ)基準」。
ZEHとは、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略で、「外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設 備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギー を実現した上で、再生可能エネルギー等を導入することにより、年間の一 次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅」とされています。

具体的には、以下の1~4のすべてに適合した住宅です。

1. ZEH強化外皮基準
地域区分1~8地域の平成 28 年省エネルギー 基準(ηAC 値、気密・防露性能の確保等の留意事項)を満たした上 で、UA 値[W/m2 K] 1・2地域:0.40 以下、3地域:0.50 以下、4~7地域:0.60 以下)
2. 再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から 20% 以上の一次エネルギー消費量削減
3. 再生可能エネルギーを導入
4. 再生可能エネルギーを加えて、基準一次エネルギー消費量から 100%以上の一次エネルギー消費量削減
(経済産業省資源エネルギー庁「ZEHの定義(改訂版)戸建住宅」より)

このように、ZEHのほうがさらに厳しい基準になっています。

「エネルギー基本計画」(2014年4月閣議決定)では、「住宅については、2020年までに標準的な新築住宅で、2030年までに新築住宅の平均でZEHの実現を目指す」という政策目標が設定されました。

創建工房でも、このロードマップに則りZEH基準のUA値0.6を下回る数値をクリア。
一戸でも多くの “ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス” の実現を目指しています。

新しい評価基準 HEAT20(ヒート20)

COP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)も開催され、世界全体で地球温暖化について協議されたことは記憶に新しいところ。このように、地球規模で温暖化に対して課題を検討しはじめた近年では、新しい断熱性に関する評価基準が注目されています。
それが、HEAT20(ヒート20)です。

HEAT20とは、地域温暖化、エネルギーそして居住者の健康と快適な住まいを考える研究者、住宅・材生産者団体の有志により2009年に発足した「20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会」の呼称ですが、断熱の新しい基準の総称としても使われています。

HEAT20は、住宅の省エネルギー基準とは少し異なる観点から、室内温熱環境のあるべき姿を見据え、G-1〜G3という独自の断熱基準(外皮性能グレード)を提案しています。※2

一般社団法人 20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会HP資料より引用

指標ポイントは

・建築的要素(断熱・遮熱・通風・日光活用等)
・設備的要素(空調機などの低熱費性能等)
・創エネ的要素(太陽光発電等)

この3つのポイントをバランス良く調和させた住宅を目指すことが、HEAT20の基準。まさに、これからは世界中でこれくらいのレベルの家を創っていこう!という流れが起きているといえます。
私たち創建工房では、このHEAT20の取り組みに賛同し、全戸G1グレードをクリアしています。

C値(気密性能)はかなり重要?

断熱性が重要であるならば、気密性も気になるところです。
気密性とは、いわば隙間の有無。
隙間風が入ってくるか、入ってこないか・・・みたいな感じです。
この隙間が少なければ少ないほど、気密性が高いということになります。

家の面積に対して、どれくらいの面積の隙間があるのか(相当隙間面積)を表すのが、
C値(気密性能)です。
数値が小さいほど、気密性能が良いことになります。
では、その数値はどれくらいのイメージなのか?
例を出してみましょう。

0.1  消しゴム1個分の隙間 
0.3  はがき半分の隙間 

という具合です。

でも実は、国の省エネ基準にC値の基準はありません。平成14年までは、寒冷地で2.0、その他の地域では5.0という基準値が存在したのですが、「施工前に確認できない」「検査に手間がかかる」などの理由からなくなってしまいました。
国の基準がないんだったら、あんまり気にしなくてもいいんじゃない?
となりそうですが、ちょっと考えてみてください。

例えば、さきほどの新しい断熱基準、HEAT20のG2グレードを獲得している住宅のC値が高かったとしたら・・・(つまり、せっかく高い省エネ基準をクリアしているのに、隙間だらけ)。

イメージしてください。
まるで、最高の暖かさを誇るダウンジャケットを着ているけれど、
手首はスッカスカで風が入りまくっている状態を・・・

それって、寒いやん!

ですよね(笑)。

ですから、断熱を考えるならばC値もしっかり見てみておかなければあまり意味がない可能性があります。
しかもこのC値、基本的に計算式で求められるものではなく、気密施工を終えた建物の中で気密測定器という専用の機械を使って測定してはじめて、その数値結果が得られるのです。
これってつまり、良い意味でごまかしが効かないということ。
確かなエビデンスから導き出された数字で評価が得られるということは、居住者にとってすばらしいことだと思います。

数値先行でいいの?

ここまで、やれUA値だのC値だのといろいろ数値についてお話しておいて何なのですが、実はそんなスペックばかりを追い求めている世情に対して、私たち創建工房は、少し訝しく思っています。

例えば、UA値の良い数値を出すには窓を減らしてしまえば簡単です。
また、C値の場合、どうしても隙間が生まれてしまう「引き違い戸」や玄関ドアの「引き戸」を一切作らなければ良い結果が出るでしょう。

夏涼しく、冬暖かい家。

そんな住空間は、健康に関わるものだと、断熱性能の部分でも述べました。
しかし、その健康とは、数値に裏打ちされた身体機能だけに関わるものでしょうか?
本来の健康とは、カラダだけでなくココロにも関わるもの。
開放感を我慢して、窓を減らす?
お気に入りの引き違い戸を諦める?
特に、玄関ドアの引き戸はスペースをとらず、開閉も簡単でとても便利です。
そんな便利で心豊かな生活よりも、気密性の重視を優先する?
それではなんだか、寂しい気がしませんか?
精神面でも健康でなければ、真の健康とはいえないのではないでしょうか。

リラックスできる場所、心地よい場所、お気に入りの場所。
もしかしたら、そんな空間がもたらすココロの健康でも、住人の寿命が伸びるかもしれません。
創建工房は、そんな家を創りたいと強く思っています。

建てた時がMAX。それを維持するためには?

住宅の機能性に関する数値。
それは、建てた時が最高値です。どうしても経年劣化により、その数値が下がっていくことは覚悟しなければなりません。
これだけ高い性能を、10年後、20年後にも担保できるか?
そこにも、しっかりと目を向けなければなりません。

では、どうすれば少しでもそのベストな状態を維持できるでしょうか?

ここで重要なキーワードとなるのが、創建工房が一番大切にしている「耐久性」。
そのお話は、次回に。

※1 詳しい地域区分は、国土交通省発表資料
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/shoenehou_assets/img/library/chiikikubun-sinkyuu.pdf

※2 HEAT20独自の断熱基準の詳細は、 一般社団法人 20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会HP
http://www.heat20.jp/grade/