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2011年05月25日 社長ブログ
クレーム業界からの脱却
ある建売住宅の下請けをしている業者さんからの相談がありました。
数年前に塗装した壁の色が落ちてきていて、元請の不動産屋に家を購入した買主さんから連絡が入って「塗り直して欲しい」とクレームが入ったそうです。しかしその業者さんは塗る材料の色や素材は自分で決めていません。指定された商品のメーカーの色で施工しただけです。
買主さんは住んで1年程度で色は落ちてきたと言ってたそうですが、クレームが入ったのはつい最近。その時点で約5年が経過しています。
売主さんは下請け業者に連絡しただけで責任は下請けです。
買主さんとの話も全て業者さん。
その業者さんが言うには、色自体が変わった色の商品だったみたいで塗装業界では色落ちするリスクがある材料だったそうです。もちろんクレームが入ってから製造元のメーカーに連絡したらしいですが、そのメーカーは現地にも行かないそうです。
つまり業者さん、メーカー側からすると色落ちするリスクがある材料という事と、建物の立地条件からなる(例えば日当たりとか)悪条件が重なり色落ちしたという見解だそうです。
外壁に塗装は殆どしないので詳しくは分かりませんが、その材料は保障が無いそうです。
これはどう決着します?
建築業界は現場で人の手によって施工されるので、こういった問題は多々あるのです。
私が彼に言ったのは「最初に色落ちするリスクは伝えたのか?」その一点です。
そのリスクを伝えていたら購入した方も変更したかも知れません。しかし下請け業者の彼が元請からの指示があったらから言えなかったかも知れません。
もしかしたら施工ミスだったかもしれないし、材料が悪かったかもしれないし、悪条件が重なった現象かもしれない。建売住宅なので定期点検はおそらく行ってないことも原因でしょう。
買主さんも早く言うべきだったと思います。
自然素材を扱う私たちはリスクで言えばかなりのリスクがあります。なぜなら木は季節によって収縮しますし、音も鳴ります。もしかしたら木に多少のヒビが入るかもしれません。
有難い事に今まで大きなクレームは一度もありません。それは私たちが優れているからではなく、ごく当たり前の事のきちんと説明しているからと思います。
この世の全ての人間にクレームが入らない商品は存在しないと思います。
だからこそ説明して理解してもらう。
間違っていたら素直に謝る。
ミスはすぐに対応する。
もしかしてお客様が間違った見解をしているなら正直に伝えなければなりません。それで多少誤解を生んでも仕方はないです。小手先の言葉は心の奥には響かないでしょう。
こうした事を大切に考えていれば大きな問題にはならない事と思います。誰だってクレームをつけようと思えば幾重にも言えるでしょう。大きな問題になっている場合は、その物の問題を通り越して違う問題に発展しています。そうなれば問題解決は難しい。
偉そうに言ってますが私もまだまだです。自分も変わった人間と思いますし自分の価値観や偏見から一方的な考えにはどうしてもなりますから。
一生に一回かもしれない高額な買い物である住宅を扱っている私たちだからこそ、家づくりをする前から信頼関係を構築していかなければなりません。
そうは言っても信頼関係の構築なんて簡単にはいきません。生まれも育ちも違うし、そもそもお客様と工務店の関係性は変わりません。でも関係は五分五分です。だからクレームにはならないんです。相手を尊重していれば言葉も素直に聞けますし。
そういう考えも確かにあるとか思えるしね。
作り笑顔が苦手でいつも誤解されてきた私だから思う事です。